相続時精算課税制度とは?今後の改正内容も併せてわかりやすく解説
相続時精算課税制度とは、贈与税の申告書に「相続時精算課税選択届出書」を添付することで累計2,500万円までの贈与について、非課税になる制度です。
制度の利用においては、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に申告する必要があります。
また、同じ父母や祖父母からの贈与は、累計が2,500万円に達するまで何度行っても非課税になります。
この記事では相続時精算課税制度のメリット、2024年の制度改正、注意点の順にご紹介します。
相続時精算課税制度のメリット
相続時精算課税制度のメリットとしては、以下の点が挙げられます。
贈与税は2,500万円まで非課税で、超過分の課税額も低く抑えられる
相続時精算課税制度を選択した場合、2,500万円まで特別控除が適用でき、贈与税の税率は2,500万円を超える部分については一律20%です(贈与財産の種類による制限はありません)。
ただし、相続時精算課税制度を選択した後の贈与財産については、相続(死亡)時に贈与者の財産に戻し、相続税額を計算することになります。
このように、贈与時に2500万円までは贈与税の課税対象額から控除されますが、贈与者の相続時に相続財産に持ち戻された贈与財産の合計額に対して相続税が課税されるため、「相続時精算課税制度」と呼ばれています。
また、相続時精算課税制度の適用を受ける際に総額が2,500万円を超え、すでに贈与税が支払われている場合は、支払った贈与税と相続税とを相殺することができます。
支払った贈与税の額が相続税の額を上回る場合は、その差額が還付されます。
相続時のトラブルを未然に防ぐことができる
相続税法に基づく遺産分割ではなく、贈与者が特定の人に財産を贈与したい場合、相続時精算課税制度を利用することで、相続後の争いを防ぐことができます。
例えば、贈与者が事業承継者や同居の子に多めの財産を譲る必要がある場合、遺産分割前の段階で贈与を行うことができます。
また、贈与者の意志が反映されるのも利点の一つになります。
2024年から年間110万円までの贈与は相続税・贈与税がかからない
2024年の税制改正で、相続時精算課税制度に新たに「年間110万円の基礎控除」が追加され、2024年1月1日以降、相続時精算課税制度を選択した人への年間110万円までの贈与には、贈与税・相続税がかからなくなります。
なお、贈与税の申告も不要です。
年間の贈与額が110万円を超えると贈与税の申告が必要
今回の改正では、相続時精算課税制度の恩恵が大きくなる一方で、注意すべき点もあります。
今回の改正で年間110万円の基礎控除が設けられたものの、その恩恵は年間110万円までで、110万円を超える場合は贈与税の申告が必要となり、相続開始前の期間にかかわらず超過分を相続財産に加算する必要があります
相続時精算課税贈与は贈与税の申告期限を過ぎてしまうと、2,500万円の特別控除が使えなくなるというデメリットが発生しますので、申告期限にはご注意ください。
相続に関するご相談は、ひまわり税理士法人におまかせください
相続時精算課税制度を選択するか否かを判断するためには、将来必ず発生する贈与者の相続を見越した上で、贈与財産以外の財産の種類や価額等をシミュレーションする必要があります。
ひまわり税理士法人では相続に関する幅広いサポートを行っております。
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